人的資本の充実
基本的な考え方
当社では、当社グループの持続的な成長につなげるため、従業員個々への役割・期待を示し、
能力開発を支援するとともに、多様な価値観を尊重し、その能力を最大限に発揮できるフィールドを整えることで、
名鉄グループ価値向上に資する人材集団の形成を目指しています。
|
ダイバーシティの推進
当社では、多様な人材の活躍を実践することで、顧客ニーズに合った商品・サービスの開発や事業の推進を図ります。
また、働き方の多様性を尊重し、労働市場の変化に対応すると共に、従業員がいきいきと個性や能力を発揮できる会社を目指しています。
女性活躍推進
女性のさらなる活躍推進のため、基本方針・行動計画のもとにさまざまな施策を実践しています。
基本方針
与えられた役割を性差等を問わず従業員が最大限発揮し、長期にわたり組織に貢献する仕組みをつくる
女性活躍推進法一般事業主行動計画(2021年4月1日~2026年3月31日/5ヵ年)
1総合職の女性採用比率を30%以上、鉄道運輸職の女性採用比率を10%以上とする
2本社部門および鉄道現場部門において、女性管理職相当職(係長職)以上の数を2倍とする
3年次有給休暇取得率を本社部門80%以上、鉄道現場部門95%以上とする
当社の主な取り組み
育児休業制度・育児短時間勤務制度を導入し、企業主導型保育所として名鉄スマイルプラスが運営している「ぽっぽ園」を利用しています。
また、キャリア支援制度として、育休復職前面談・育休復職者向けセミナーを実施するほか、2022年度よりサポーター役員制度を導入しました。
|
その他
高齢者雇用の推進
当社では、65歳までの定年まで従業員が心身共に健康でいきいきと働けるよう、個々が60歳以降の働き方を選択できるようにすると共に、
従業員の健康増進を図ることで、培った経験を活かして活躍できる環境を整備しています。
人権の尊重
名鉄グループは使命である「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」に基づき、
社内および社外全ての方々の人権を尊重すると共に、あらゆる差別や人権侵害につながる事業活動は一切行いません。
私たちはここに「名鉄グループ人権方針」を掲げ、社内に人権啓発推進委員会を設置し、
あらゆる人権課題の解決に向け啓発活動を行うことにより、企業の社会的責任を果たすことを目的として活動しています。
また、従業員の啓発として、入社時および定期的に人権研修を行い、人権問題に関する理解促進および意識向上に取り組んでいます。
人材の育成・キャリア開発
当社では、安全輸送を遂行するための徹底した安全教育と、お客さまサービス向上のための教育を実施することで、
常に信頼されるサービスの提供を目指しています。
また、役割別・コース別教育や各分野での専門性を強化する教育に加え、従業員が主体的にキャリアを選択し、キャリアアップできるよう、
自立型教育を充実させるとともに、社内副業制度やグループを含めた異動公募制度など、機会の創出・支援に取り組んでいます。
さらに、グループ合同で階層ごとの研修を行うことで、グループ全体の能力向上とガバナンス・結束強化を図ります。
|
健康経営の取り組み「ずっと活躍!みんな健康プロジェクト」
健康経営理念
名古屋鉄道では、加速する人口減少・少子高齢化に伴う労働力不足が懸念される中、会社の持続的な成長と地域価値向上の使命を果たすべく、安定的な労働力確保、生産性の向上、組織の活性化という経営的視点から、従業員の健康保持・増進に積極的に取り組んでいくこととし、平成29年4月に「健康経営理念」を策定しました。
|
プロジェクト推進体制
人事部担当役員を推進責任者とし、推進事務局である人事部(産業医・保健師含む)を中心に、「名古屋鉄道健康保険組合」・「名古屋鉄道共済会」と一体となって、健康課題の分析および各種健康施策の検討を重ねています。また、健康課題および各種健康施策については労働組合とも連携を図り、経営層への共有・協議を経て、各職場の推進担当者を通じて従業員へ展開する体制を構築しています。このような体制のもと、施策および数値目標について毎年見直しを行い、PDCAサイクルを回すことにより、当社の健康課題を踏まえた実効性の高い取り組みとなるよう継続的な改善を図っています。
|
当社の健康課題
当社は、日々の安全・安心・安定輸送をはじめ、お客様へ質の高いサービスを提供していくため、その担い手である従業員全員の健康保持が重要であると考えております。近年、従業員の高齢化を背景として、がん、心・脳血管疾患のほか、不慮の事故(骨折など)、筋骨格系疾患(靱帯損傷など)による休業が多くなっています。また、生活習慣病の若年化の傾向も見逃せません。こうした問題の解消には、若年期からの予防対策が不可欠であり、従業員一人ひとりの健康意識の向上が課題となっております。また、近年増加するメンタル疾患への対応として、個別の事情に応じたきめ細かいケア、階層別のメンタルヘルス教育はもちろんのこと、その前段階として、従業員一人ひとりが多様な個性や能力を最大限発揮し、明るく活き活きと働くことのできる職場環境づくりや、ワークライフバランス、エンゲージメントの向上が重要と考えております。
具体的な取り組みと数値目標
当社が抱える健康課題を解決していくため、様々な取り組みを検討・実施しています。また、年度ごとに具体的な数値目標を設定し、データに基づく効果検証を通じて、取り組み内容の見直しを行っております。
近年の主な取り組み
① 生活習慣病予防
生活習慣改善に向けた保健指導の実施
健康保険組合と協力し、特定保健指導や40歳未満の有所見者への生活習慣改善指導を積極的に行っています。生活習慣病は自覚症状がないまま進行するため、健診は個人が生活習慣を振り返る絶好の機会と位置付け、行動変容につながる保健指導に取り組んでいます。
ヘルシーメニュー、健康飲料の提供
管理栄養士の監修により、社員食堂において、生活習慣病の予防・改善につながるヘルシーメニューを提供しているほか、社内に機能性表示食品の健康飲料を備えた自動販売機を設置し、従業員の健康意識向上と福利厚生の充実に努めています。
② メンタルヘルス向上
こころの健康づくり計画を策定し、従業員一人ひとりが、「仕事の誇りとやりがいを感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得て活き活きと働ける」企業を目指し、メンタルヘルス不調の未然予防と快適な職場づくりのために、次の4つの施策を推進しています。
(1)メンタルヘルス教育
従業員全員にメンタルヘルスケアハンドブックを配布しています。また、年次別、職種別、階層別の研修や安全衛生委員会等の機会を活用し、幅広い年齢層にメンタルヘルス対策の基本となる「セルフケア」・「ラインケア」教育を実施しています。令和4年度よりEラーニングを活用し、対象者の拡大や教育機会の増加を図ることで、さらなるメンタルヘルス教育の強化に取り組んでいます。
(2)職場環境の改善
ストレスチェックの集団分析結果の活用や職場内コミュニケーションから、一体感のある快適な職場環境づくりを目指しています。
(3)ストレスへの気づき
個人や職場のストレス状況に気づく機会として、年に1回ストレスチェックを実施しています。また、職場ごとの集団分析結果は、産業医・保健師より各職場へ報告し、職場での環境改善の検討に活用しています。
(4)こころのケアの支援体制
保健師による電話相談窓口を設けており、いつでも相談を受けられる体制を整えています。メンタルヘルス不調による休業から復職される際には、復職の流れを「職場復帰支援プログラム」として定めており、スムーズな職場復帰と再発予防に努めています。産業保健スタッフ(産業医・保健師)と各職場の管理監督者や総務担当者とで連携し、支援を行っています。
③ 女性の健康支援対策
月経関連トラブルや更年期症状、妊娠、出産、比較的若い世代から罹患率が高まる婦人科がんなど、女性特有の健康課題は様々で、仕事のパフォーマンスにも影響するといわれています。上記のような女性特有の健康課題に対する知識の向上を目指し、令和5年度は女性従業員を対象に「働く女性のためのヘルスリテラシー向上セミナー」を実施しました。動画での受講も可能にし、就業時間内に実施するなど参加率の向上にも取り組んでおり、昨年度に引き続き、9割以上の高い参加率となりました。また、女性の健康支援として、乳がん、子宮がん検診の費用補助を行い、女性のがん検診受診率の向上に取り組んでいます。(健康保険組合の保健事業)
④ 傷病早期発見
人間ドック、各種がん検診の受診促進
健康保険組合と連携してパンフレットでのPRや予約仲介を行い、傷病の早期発見・早期治療を呼びかけています。また、年齢に応じて人間ドック、子宮がん、乳がん、大腸がん検診の費用補助を実施し、受診率の向上を図っております。会社および健康保険組合による費用補助により、本人が無料で受けることのできる「年齢別ドック*1」については、生活習慣病が若年化傾向にあることを踏まえ、2023年度より35歳時も含めた対象者へ補助対象者を拡大しました。
*1 40歳・45歳・50歳・55歳時に会社および健康保険組合による費用補助により、本人負担実質0円で受けられる人間ドック
健康診断有所見者への受診勧奨
健康診断等の結果、医療機関での受診指示を受けた者については、原則1カ月以内での受診を促しその後の状況を調査しています。受診が滞っている場合には、産業医からの受診勧告や就業制限措置を含めた対応を行い、放置による状態悪化の防止を徹底しています。
⑤ 喫煙対策
「禁煙チャレンジ」・「オンライン禁煙プログラム」の実施
禁煙外来にかかる費用の補助をするとともに、禁煙達成・継続に向けてアンケートやメールでサポートを行う「禁煙チャレンジ」を実施しています。また、個人がオンライン上で医師の診察を受け、自宅などに配送される禁煙治療薬を使用して、禁煙を目指す「オンライン禁煙プログラム」も導入しています。(健康保険組合の保健事業)
職場における喫煙環境の改善
職場内における、受動喫煙を含めた喫煙環境の改善を図るため、産業医・保健師による職場巡視を行い、換気機能や受動喫煙への影響等を考慮し、必要に応じて施設の改善を提言しています。また、毎年喫煙率の高い部署を喫煙対策強化部署として選定し、保健師による禁煙教育の実施や禁煙プログラムへの参加促進等により禁煙のサポートを行っています。
数値目標
当社の健康課題を解決していく上での重要な指標として、特に「BMI有所見率」、「喫煙率」、「健康診断有所見者の受診率」を掲げ、以下の数値目標を設定しています。
|
健康経営のKPI
従業員の心身の状況など、健康経営に関連する指標(KPI)を継続的に集計することにより、当社の課題やその改善状況を定量的に把握・分析し、各健康施策の見直しに活用しています。
|
健康経営の取り組み支援
当社では、地域社会の持続的発展に貢献していくため、従業員に向けた健康経営の取り組みにとどまらず、企業活動や商品・サービスを通じて、社会全体の健康増進に寄与していくことが大切であると考えています。
電車沿線ハイキングの取り組み
当社の電車沿線ハイキングでは、当社駅を起点に魅力溢れる観光スポット、季節の花の名所や地元のお祭り会場などを歩いて巡るコースを設定し、春・秋・冬を中心に年間約60回開催しております。健康志向の高まりや、「予約不要・参加費無料」の気軽さもあり、毎年多くの方にご参加いただいております。当社では、地域の活性化や健康経営の取り組み支援の観点を踏まえ、毎年、沿線の団体様に対してご参加を募り、健康増進施策の一環としてご活用いただいております。
<過去に健康経営の取り組みにご活用いただいた事例>
愛知県社会保険協会 様
愛知県年金受給者協会 様
あいち中央農業協同組合 様
全国健康保険協会愛知支部 様
トヨタ自動車企業年金基金 様
名古屋市職員共済組合 様
外部評価
「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定
当社は、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に2年連続で認定されました。今後も、健康経営を推進することで、従業員の健康保持・増進に取り組み、当社の持続的な成長と地域価値向上を目指します。
|
当社の数字
※2023年3月末現在
従業員数
男性 | 女性 | 女性比率 | |
---|---|---|---|
全社 | 4,265人 | 722人 | 14.5% |
本社 | 347人 | 107人 | 23.6% |
鉄道事業現場 | 3,683人 | 106人 | 2.8% |
病院 | 147人 | 489人 | 76.9% |
その他 | 88人 | 20人 | 18.5% |
平均勤続年数
男性 | 女性 | |
---|---|---|
全社 | 26.0年 | 13.2年 |
本社 | 20.1年 | 17.5年 |
鉄道事業現場 | 27.1年 | 14.6年 |
病院 | 13.1年 | 11.4年 |
その他 | 25.2年 | 26.4年 |
有給休暇取得率
全社 | 94.2% |
---|---|
本社 | 85.8% |
鉄道事業現場 | 96.2% |
病院 | 88.3% |