杉本美術館

催事

2021年4月22日(木)~2021年9月13日(月)

芸~舞・奏~

 杉本健吉は、若いころ岸田劉生に師事しました。ちょうどその頃は、劉生が役者絵や芝居絵を描くようになっていた時期でした。
 杉本は、三味線師匠であった父親の影響もあり、学校時代から芝居小屋に出入りしていて、何の抵抗もなくその世界になじんだといいます。
その一方で、「僕は決して大人の通ぶった見巧者(みごうしゃ)にはならなかった。ただ舞台が美しいと思っただけだった。」とも回顧しています。
玄人的な鑑賞ではなく、舞台を見ての美しさ、音楽的な美しさを、素直に楽しむこともまた、芝居のひとつの楽しみ方かと思います。
歌舞伎にしろ、文楽にしろ、舞踊にしろ、その姿は絵画的であり、その姿そのものが美術であるといえるかと思います。また同時に、音楽だといえるかと思います。そんな姿を杉本は、楽しんで描きました。演じられている人情や物語を楽しみ、音色を楽しみ、そして絵にしました。
 演劇に携わるいろいろな方との交流で、芝居のプログラムの表紙絵も描き、さらには劇場の緞帳のデザインも手掛けました。
 また、奈良の文物に触れる中で、正倉院に伝わる「布作面」(ふさくめん)や胡蝶の舞いにも関心を持ち、絵に描きました。海外にスケッチに出かけるようになると、外国での演舞や演奏にも関心を持ちます。
 舞そのものではありませんが、あでやかな舞妓さんの写生を絵描き仲間と楽しんだこともありました。
 そんな「舞」や「奏」にじかに触れ、すなおに美しいと思い、楽しんで描いた作品の数々を今回ご紹介します。
 作品を描いた杉本健吉と一緒にお楽しみいただければと思います。