自分の手で伝統に
触れ、味わう。
犬山の暮らしが
息づく文化体験。

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いたるところで歴史を感じられる犬山。そんなまちを訪れて、見るだけで終わるのはもったいない。ということで今日は、犬山の暮らしと繋がりが深い茶道や絵付けを体験してみることに。お茶を点てること。器に色をのせること。その静かな所作の一つひとつに、このまちの息づかいが宿っているような感覚を味わうことができました。

常満寺での茶道体験歴史ある寺へ、
お茶の時間を味わいに。

城下町から1本となりの道へ入ると、先ほどの賑わいが嘘のように落ち着いた空気が流れています。そんな通りの一角に佇む「常満寺」。ここで茶道体験ができると聞き、門をくぐりました。

本堂へ足を踏み入れたとき、まず感じたのは“光”。お寺というとどこか薄暗く、少し緊張感のある空間を想像していました。けれど目の前に広がっていたのは、やわらかな自然光に満ちた室内。新しく再建されたばかりだという本堂の木の香りが、ほのかに漂っています。

幾年もの時を越え、
かたちを変えたものと、
変えずに残してきたもの。

体験の前に、住職にお話を伺うことに。「この寺は、鎌倉時代に開かれたんです。」やわらかな口調で語られたのは、善光寺で修行を重ねた僧が、夢のお告げによってこの地を選んだという由来。そして東に富士山、西に伊吹山、その先には出雲大社。これらを結ぶ“ご来光の道”の上にこの寺があるというお話に、胸の奥が静かに震えました。

驚いたのは、今もお寺が多くの人に開かれた場であること。たとえば学習支援として、不登校の子どもたちがここで勉強を続けているそうです。またヨガやナイトフラダンスといった催しも定期的に開かれているそう。再建したからこそ可能になった夜の活動や文化体験の場。伝統を守りながらも、時代に応じてかたちを変えていく柔軟さが印象に残りました。

静けさのもと一碗に向き合い、
心を整える。

一通りお話を伺ったら、茶道体験の時間に。お茶室へと案内していただきます。
まずは先生のお手本から。茶碗に湯を注ぎ、茶筅を静かに動かす所作は無駄がなく、部屋に茶筅の音だけが静かに響きます。その場の空気まで澄んでいくようでした。

それではいよいよ、自分で点ててみます。教えていただいた通りに茶筅を動かしているつもりでも、なかなか均一な泡は立ちません。力加減や手首の使い方ひとつで仕上がりが変わることに驚きながらも、次第に心が落ち着いていくのがわかりました。お茶をいただくときは、器の絵柄を手前に向けてひととき眺め、口をつける前に二度まわして正面を避ける。そんな一つひとつの作法にも、相手を思う心が込められていることを知ります。

抹茶の深い緑を見つめながら、ここが700年の歴史を刻んできた場所であることを思い出しました。お寺の静けさのなかで、いっそう特別な空気が流れているようです。一碗を口に含むと、ほろ苦さの奥にやわらかな甘みがあり、飲み終えたあとにも余韻が残ります。常満寺での茶道体験は、心をゆっくり整えられる上質な時間でした。

尾関作十郎陶房での犬山焼絵付け体験犬山焼に色をのせる、
手しごと体験。

今度はかたちに残るものを。犬山焼の絵付け体験へと足を運びます。
訪れた先は「尾関作十郎陶房」。ここで受け継がれているのは、色絵の美しさで知られる犬山焼です。

犬山焼は、京焼の影響を受けた華やかで繊細な色絵が特徴で、どこか凛とした気品を感じさせます。磁器ではなく、地元の土を使った陶器であることも大きな魅力。中国・明の呉州赤絵(ごすあかえ)の写しから始まったともいわれる歴史をもち、時代ごとに土の質や表現を変えながら受け継がれてきたそう。華やかさの奥に、その土地のものがたりも重なっているのだと思うと、一つの器の見え方が変わる気がしました。

大事なのは、
自分らしく楽しむこと。

さっそく犬山焼の絵付けに挑戦。筆の持ち方や絵の具の含ませ方、線の引き方。先生がとなりで丁寧に教えてくださいます。先ほど茶道体験で手にした犬山焼の器をぼんやりイメージしながら筆を手に。にじみや揺らぎについても、それが陶器の味だとのことで、少し感じていた緊張がほどけていきました。

絵の具をのせると、思ったよりも発色がやわらかい。焼き上がりで色味が変わると聞き、その変化も魅力のひとつなのだと知ります。「難しく考えなくて大丈夫。楽しむことが一番だから。」そう何度も声をかけてくださるので、肩の力が抜けてのびのびできました。気づけば時間を忘れ、無心で筆を走らせていました。

古民家のぬくもりに包まれて、
心満たされる時間。

体験のあとは、併設のカフェでひといき。先生の奥様のアイデアで始められたお店なのだそう。
この日いただいたのは、おすすめメニューの三種盛りセット。大ぶりのわらびもちと懐かしい味のクラシックプリン。そして濃厚なバスクチーズケーキには、塩が添えられています。ほんの少し合わせると、甘みと塩味が互いを引き立て、驚くほど調和します。

犬山焼の器で味わう甘味とコーヒー。そして古民家のあたたかい木のぬくもりに包まれながら、おだやかであたたかい時間を過ごすことができました。

これが、私にとっての
「大人アガルひととき」。

犬山の歴史は、日々の営みの中にも息づいています。お寺の静けさやそこで受け継がれる茶道の文化、そして犬山焼や古民家に流れる時間。どれもこのまちが長い年月をかけて育んできたものなのだと感じました。この空気に身を置いていると、自分もその時間の一部になれたような気分に。この感覚こそが、私にとっての「大人アガルひととき」でした。

今回訪れた場所

常満寺鎌倉時代に開かれた歴史ある寺。やわらかな光に包まれる本堂で味わう茶道体験は、日常の忙しさをふっと忘れさせてくれます。静かな一碗に向き合う時間の中で、心がゆっくり整っていくのを感じられる場所です。

住所:
〒484-0085
愛知県犬山市大字犬山字西古券281
創建:
1291年
公式サイト

尾関作十郎陶房色絵の美しさで知られる犬山焼を受け継ぐ陶房。器に自分の手で色をのせる絵付け体験のほか、併設の喫茶では犬山焼の器で甘味やコーヒーを味わえるのも魅力。古民家のぬくもりに包まれ、あたたかい時間を過ごせます。

住所:
〒484-0081
犬山市大字犬山字白山平2番地
営業時間:
11:00〜17:00
定休日:
不定休(喫茶は月・火・水曜が定休日)
公式サイト
犬山までのきっぷをおトクにセット! 犬山城下町きっぷ
その他の
大人アガルひととき
積み重ねてきた時間を全身に
感じながら、国宝 犬山城を歩く。

攻める者の緊張、守る者の覚悟。城に足を踏み入れれば、そこかしこに当時の気配が漂っています。天守最上階からまちを眺めるうちに、自分もまた歴史の一場面に立っている気持ちに。

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犬山の名所Places of interest in Inuyama

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