名古屋鉄道 - MEITETSU サステナビリティ

誰もが活躍できる職場づくり・人づくり

人権の尊重

名鉄グループは使命である「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」に基づき、
社内および社外全ての方々の人権を尊重すると共に、あらゆる差別や人権侵害につながる事業活動は一切行いません。
私たちはここに「名鉄グループ人権方針」を掲げ、社内に人権啓発推進委員会を設置し、あらゆる人権課題の解決に向け啓発活動を行うことにより、
企業の社会的責任を果たすことを目的として活動しています。
また、従業員の啓発として、入社時および定期的に人権研修を行い、人権問題に関する理解促進および意識向上に取り組んでいます。

人事ビジョン・人事戦略

グループの使命実現のための人事ビジョンと人事戦略

名鉄グループにとって、人財は企業成長と価値創造の根幹です。急激に変化する時代の中で、「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」企業グループであり続けるために、人的資本の充実がますます重要になってきます。
今回、グループの使命と中長期経営戦略実現に向けて、人事ビジョン「あなたらしく、そしてその先へ」を設定しました。従業員が自身の個性を発揮し、やりがいを持って働ける環境を整えることで、従業員本人とグループの成長につなげていきたいと考えます。

人財力の基盤とウェルビーイング

当社グループには、高い「社会的使命感」と「地域愛」を持った従業員が集まっています。こうした人財に対し、グループ全体で積極的な人財投資を行うことで、「人財力の基盤」の確立と「人財力の向上」の実現を目指していきます。
従業員一人ひとりが能力を発揮するための「人財力の基盤」として、「人権」「健康」を定義し、グループ全ての従業員が安心して働ける職場環境を提供していくとともに、従業員一人ひとりの「人財力の向上」を実現していくために、「挑戦・創意工夫」「成長・能力発揮」「DE&I」の3要素を軸とする各種施策を進めていきます。
こうした施策を通じて、自らの能力を高め、よりよい職場環境の中でやりがいを感じて仕事に取り組むことが、従業員エンゲージメントの向上やウェルビーイングの実現につながり、一人ひとりがより高い成果を生み出していくことで、グループとしての企業価値創出に結びついていくと考えます。
同時に、グループによる企業活動がお客様と地域社会の豊かさにつながり、地域に貢献しているという実感として従業員に還元されることで、さらなる従業員のウェルビーイング向上へとつながっていき、「お客さま・地域社会と人財の好循環」が生まれます。
なお、従業員の人財力向上やウェルビーイング、地域貢献の実感を定量的に観測するための指標として「従業員エンゲージメント」をKPIとして設定し、継続的に進捗を確認していきます。

人財力の向上に向けて

経営ビジョンに掲げるような当社グループならではの価値を提供するチャレンジングな取り組みを行っていくためには、 価値創造に共感し、「社会的使命感」や「地域愛」を持った多様な従業員一人ひとりが、「挑戦していく意欲を持ち」、「自身の 能力とスキルを向上させ」、「多様な価値観を受け入れなが ら、さまざまな視点から考えることができる」ことが重要 です。これらの力を伸ばすことが「人財力の向上」であると 考え、「挑戦・創意工夫」「成長・能力発揮」「DE&I」を「人財 力の3要素」として定義しました。 従業員一人ひとりの人財力の向上に向けて、「人財力の 3要素」の観点から各種人事施策に取り組んでいきます。

人財投資について 当社だけでなくグループで人財投資を積 極的に進めていくため、グループの投資 を定量的な目標として具体化し、投資の 姿勢をグループ全体に広げていくことを 目的としていますが、本中期経営計画策 定に合わせて新たに定義したところであ り、その水準や見通しについては、今後検 討を進めていきます。

挑戦・創意工夫

当社グループは、チャレンジとイノベーションを創出する企業風土をつくるため、従業員の「挑戦・創意工夫」を後押しして います。当社では、総合職を対象として、年齢に偏らない進級と早期登用を実現するために「挑戦と貢献度」を基準とする評価 制度を導入しました。また、挑戦できる機会の創出としてグループ内副業や社内外のポジションを公募する「キャリアチャ レンジ制度」の充実やグループ外の会社・自治体等との人財交流を促進しているほか、創造性を生み出していくために、グ ループ全体でさまざまなスキルやバックグラウンドを持った人財の獲得に取り組んでいます。なお、グループの中で優れた 能力を発揮している従業員やチームには、各種表彰制度でその成果を表彰しています。

多様な価値観やキャリアを持った人財の採用強化

異なる価値観を持った個々人が相互に刺激を与え合うことで、新たな価値創造が生まれると考え、当社では、多様な価値観 やキャリアを持った人財の採用を強化しています。キャリア採用については、さまざまな職歴やスキルを持った人財を採用する ため、選考を通年で実施し、採用数を拡大しています。また、家庭の事情や転職など自己都合を理由に当社を退職した方を対象 に「ウェルカムバック制度」を導入し、再び当社での活躍を希望する方を積極的に再雇用しています。組織の多様性実現のため に新卒・キャリア採用ともに女性の採用も強化しているほか、外国籍の従業員も活躍しています。

「挑戦と貢献度」を重視する評価制度

当社総合職を対象に、2024年度から人事評価制度を刷新しました。従来は年功序列の色合いが強いものでしたが、新制 度では従業員本人が数年後に実現したい「ビジョン」を設定し、1年間の挑戦する姿勢と、結果として会社への貢献度合いに フォーカスして評価する仕組みとなっています。将来グループの経営を担っていく総合職一人ひとりが会社・組織の目標を 意識し、かつ積極的に高いビジョンに向かって挑戦することで、グループ全体の成長牽引につなげます。

表彰制度

当社グループでは、従業員のエンゲージメント向上施策の一環として、グループの価値向上と地域への貢献が特に大き かった個人やチームを称えるさまざまな表彰制度を実施しています。活躍を称えることで、職場全体のモチベーション向上 にもつなげています。グループ従業員約3万人の中から大きな成果をあげた人財を表彰する「名鉄グループ表彰」や、鉄道の 運転、土木、車両、電気の各部門において、高い技術力を持ち、業務改善や後進の指導に貢献している次世代を担う従業員を 対象に、「Technical Award」を開催しています。

成長・能力発揮

当社グループは、信頼されるサービスの提供と新たな価値創造ができる人財の育成に向けて、従業員の能力開発・専門性 向上に取り組むとともに、能力を最大限に発揮し、自律・挑戦できる環境と制度を整えています。また、従業員一人ひとりが 主体的にキャリアを考え選択していく中で自主性を育てていくことで、組織全体の活力向上を目指しています。

人財の育成・主体的なキャリア開発

当社では、OJTに加え役割別・コース別の研修を実施しています。鉄道部門では、日々の安全輸送維持とお客さまサービス 向上のために、徹底した安全教育・技能講習を実施しており、加えてグループ合同で各分野での専門教育(DX、マーケティング 等)や役員研修・階層別研修を行うことで、グループ全体の能力向上とガバナンス・連携強化を図っています。
また、グループ経営を担う人財を輩出するため、2024年度より「名鉄経営アカデミー」を実施しています。約半年間のプロ グラムで経営者としての知識・スキルの向上を目指し、リーダーのあり方について学びます。
ほかにも、グループでの早期役 員経験など、次世代リーダー育成のための取り組みを進めています。 さらに、専門性の強化や自律的なキャリア開発を推進するため、2024年度から総合職を対象に「複線型キャリアパス (コース)」制度を導入しました。若手期間中に出向を含むジョブローテーションで幅広い経験をし、自身の志向と適性を見極 め、中堅職に進む際にゼネラルコース/業種・業務特化コースのどちらかを選択することで、一人ひとりが強みを自覚した経 営人財を目指します。ほかにも、自主選択型研修、キャリアチャレンジ制度、コース転換制度、自らの意志により希望する職務 へ転身できる「グループFA制度」など、さまざまな制度を整えることで、従業員の成長意欲に応えます。

DE&I

「人財力」の3要素におけるDE&Ⅰとは、個人が多様な価値観を受け入れる柔軟性や行動の公平性を指しています。 企業という枠内に個人が収まっている同質的な人財集団ではなく、企業として共通な軸は持ちつつも、個人として多様な 価値観を持った人財集団になることで、新たな価値やイノベーションが生まれると考えています。 ライフステージの変化等によって能力発揮が妨げられることがなく、従業員一人ひとりがやりがいをもって、いきいきと働 き続けられるよう、会社として、組織の多様性や公平性を提供する制度の策定などを通じて、さまざまな意見や個性が受容さ れる職場環境づくりに取り組んでいきます。

女性活躍推進

当社グループでは、女性のさらなる活躍推進のために、両立支援のほかキャリア形成支援や管理職育成に力を入れてい ます。2023年度はネットワーク構築とキャリア形成意識の醸成のため、名鉄グループの女性管理職による交流会を実施し、 パネルディスカッションや座談会、女性の社外取締役の講演を通じて、今後のキャリアを考え、悩みやビジョンを共有しました。 また、当社の女性総合職と役員の意見交換会「サポーター役員プログラム」を継続的に行い、仕事観や従業員への期待を 経営幹部から直接伝えています。管理職に対しては女性特有の健康課題についてのセミナーを実施し、周囲の理解促進を 図っています。

両立支援制度・多様な働き方の充実

当社グループでは、誰もがいきいきと働き続けられる環 境づくりに向けて、育児や介護、疾病等の両立支援施策と して、短時間・短日数勤務制度や休暇制度の拡充を行って いるほか、本社部門を中心に導入しているフレックス勤務 制度やテレワーク勤務制度で柔軟な働き方を実現してい ます。 育児支援においては、配偶者の出産休暇、復職前面談、 子の看護休暇、ベビーシッター利用補助、企業主導型保育 所の利用など、各種制度とサポートを充実させています。
また、当社では2025年4月に、育児・介護休業法の改正にあわせ、新たに介護支援におけるKPI「介護離職ゼロ」を設定しました。
最大5年の介護休業(1年間月給1/2相当の支援金支給)や、無期限で取れる介護短日数勤務など、法定基準を大幅に超える当社独自の支援制度を整備し、介護を行う従業員を手厚くサポートしています。

その他

女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定(2024年)」と、次世代育成支援認定マーク「くるみん認定(2024年)」を取得しました。

健康経営の推進

名鉄グループ健康経営方針

当社グループは、2024年10月に「名鉄グループ健康経営方針」を策定しました。従業員の健康保持・増進に積極的に取り 組んでいくこととし、推進にあたっては、当社社長を健康経営責任者、人事担当役員を推進責任者とし、人事部(産業医・保健師 含む)を中心に、グループ会社・健康保険組合が一体となって課題分析や各種施策の推進に中長期目標を設定して取り組んでいます。

プロジェクト推進体制

推進事務局である人事部(産業医・保健師含む)を中心に、「名古屋鉄道健康保険組合」・「名古屋鉄道共済会」と一体となって、健康課題の分析および各種健康施策の検討を重ねています。また、健康課題および各種健康施策については労働組合とも連携を図り、経営層への共有・協議を経て、各職場の推進担当者を通じて従業員へ展開する体制を構築しています。このような体制のもと、施策および数値目標について毎年見直しを行い、PDCAサイクルを回すことにより、当社の健康課題を踏まえた実効性の高い取り組みとなるよう継続的な改善を図っています。

当社の健康課題

誰もが心身ともに健康でいきいきと働き、能力を最大限に発揮できる状態を実現するため、従業員のウェルビーイングを向上させることが重要と考えています。
従業員の高齢化を背景に、がん、心・脳血管疾患、筋骨格系疾患(靱帯損傷など)による休業が多くなっています。また、生活習慣病の若年化の傾向も見逃せません。こうした問題の解消には、若年期からの予防対策が不可欠であり、従業員一人ひとりの健康意識の向上が課題となっています。

モニタリング指標・KPI

当社が抱える健康課題を解決していくため、様々な取り組みを検討・実施しています。また、モニタリング指標やKPIを設定し、データに基づく効果検証を通じて、取り組み内容の見直しを行っています。

モニタリング指標

健康課題の解決に向けた取り組みの効果を測るため、「従業員エンゲージメント」、「離職率」および「傷病休業日数率*1」をモニタリング指標として設定しています。
*1)傷病休業日数率=傷病休業日数/所定労働日数×100

健康経営に関する指標(KPI)

従業員の心身の状況など、健康経営に関連する指標(KPI)を継続的に集計することにより、当社の課題やその改善状況を定量的に把握・分析し、各健康施策の見直しに活用しています。

主な取り組み

① 疾病の予防・早期発見
▽人間ドック・がん検診の費用補助の継続、周知
従業員が健康に働くためには、生活習慣予防が重要と考えています。
人間ドック・大腸がん検診の受診率向上を目指すとともに、受診勧奨となった者については、未受診を防ぐために産業医・保健師にて受診結果の確認を実施し、病気の早期発見に活用しています。

▽インフルエンザ予防接種の費用補助、職域接種の継続
安定的な事業運営のために、感染症予防を推進しています。
職場から近い環境でワクチン接種を受けることができるよう、職域接種を実施して従業員が接種しやすい環境づくりに取り組んでいます。

▽血圧計の職場設置、健康アプリでの健診結果・健康数値管理
2024年度より健康意識の向上を目的として、各職場に自動血圧計を配布し、誰もが自由に使用できる環境を整備しました。
また、2024年度より名古屋鉄道健康保険組合と協力して、健康アプリ「PepUp」を導入し、歩数・体重・血圧など健康数値の記録・管理をすることを推奨しています。

② 健康づくり支援
▽年齢別健康セミナー
55歳の従業員を対象に65歳までの勤務を見据えた労働体力測定を実施しています。より若い年齢層から健康意識を向上させるため、年齢ごとのセミナー開催の拡充を計画しています。

▽アプリを活用した健康行動へのインセンティブ(ポイント)付与
歩数・体重記録や健康に関するコラムの閲覧などの健康行動に対してポイントを付与しています。
また、定期的にイベントを開催し、個人で利用するだけでなく職場でのコミュニケーション促進にも役立てています。

▽名鉄グループリレーマラソン大会
従業員の運動機会を創出するとともにに、職場内でチームを結成して出場することで、職場の一体感やコミュニケーション促進にも寄与しています。


③ 女性の健康支援
▽女性特有の健康課題セミナー
女性従業員の健康リテラシーの向上や管理職を含めた職場の風土改革に向け、継続的にセミナーを開催しています。

▽女性向けオンライン診療・低用量ピル処方サービスの導入
2024年11月に㈱LIFEM の法人向けフェムテックサービス「ルナルナ オフィス 月経プログラム」を導入しました。希望者を対象に、オンライン診療を活用した婦人科受診と低用量ピルの服薬支援を実施しています


④ いきいきと働ける職場環境整備
▽ストレスチェック集団分析を活用した部署別改善支援
従業員のメンタル不調を未然に防ぐため、年に1回ストレスチェックを実施しています。職場ごとの集団分析結果は、産業医・保健師より各職場へ報告し、職場での環境改善に活用しています。
さらに各種研修にて幅広い年齢層にメンタルヘルス対策の基本となる「セルフケア」「ラインケア」教育を定期的に実施しています。

▽グループ従業員向け保養所の魅力向上
2024年7月に大規模リニューアルしました。従業員のリフレッシュに活用されています。

その他

「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」に認定

当社は、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に3年連続で認定されました。今後も、健康経営を推進することで、従業員の健康保持・増進に取り組み、当社の持続的な成長と地域価値向上を目指します。