名古屋鉄道 - MEITETSU サステナビリティ

地域価値の向上

当社グループは、「地域価値の向上に努め、永く社会に貢献する」という使命のもと、地域社会との連携を通じた社会的課題の解決を推進していきます。

持続可能な沿線地域・社会の実現への取り組み

公共交通を中心とするモビリティネットワークの実現(名鉄グループ)

人口減少・少子高齢化時代に対応したコンパクト・プラス・ネットワーク型の地域構造※や持続可能な社会を築くことに貢献するため、名鉄名古屋駅をはじめとする交通拠点整備や、エリア版MaaSの進化・展開などを通じて、公共交通を中心とするモビリティネットワークの実現を目指します。

※ コンパクト・プラス・ネットワーク型の地域構造(出典:国交省HP) 地域の活力を維持するとともに、医療・福祉・商業等の生活機能を確保し、高齢者が安心して暮らせるよう、地域公共交通と連携して、コンパクトなまちづくりを進めること

エリア版MaaS「CentX」の推進(名鉄グループ)

当社グループでは、名鉄グループ沿線・地域の交通・生活・観光サービスをつなぎ、シームレスでストレスフリーな移動の実現を目指すエリア版MaaS※「CentX」を推進しています。CentXをさまざまなお客さま・パートナーの皆さまをつなぐハブとして機能させることで、公共交通利用の促進、沿線・地域の活性化に留まらず、社会課題解決につながる、地域共創プラットフォームとなることを目指しています。
2022年3月にサービスを開始したスマートフォンアプリCentXは、交通事業者や自治体との連携を強化しながら順次サービスの拡充を図っており、2024年2月に累計100万ダウンロードを突破しました。2024年3月には、愛知・岐阜・三重・長野にあるJR東海の在来線および新幹線の302駅が新たに「マイ駅」機能に登録可能となり、さらにJR東海の運行情報をPush通知で受け取ることができるようになりました。
また、2024年9月から12月まで、JR東海、北恵那交通と共同で、CentXアプリ上でデジタル乗車サービスの実証実験を実施しています。JR中央本線の一部区間を利用できる二次元コード乗車券と、中津川駅エリアの一部バス路線で利用できる一日フリー乗車券がセットになったデジタル企画乗車券を販売し、都市交通と地域交通の連携によるデジタル乗車サービスの実用性と利便性を検証します。
当社グループは今後もCentXを通じた公共交通機関の一層の利用促進を行うことで当地域の公共交通分担率の向上に貢献するとともに、さまざまなパートナーの皆さまと「地域共創」に努め、移動にとどまらない多様な生活サービスを提供していきます。
※ MaaS(Mobility as a Service) 地域住民や旅行者一人ひとりのトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスのこと

カーシェアリング・シェアサイクルの展開(名鉄協商)

名鉄協商では、2009年度よりカーシェアリングサービス「カリテコ」を展開しています。ステーション数は437ヵ所、車両台数556台で、東海エリアのほか関東に24ヵ所、関西に20ヵ所、北陸に2ヵ所カリテコの拠点がオープンしています(2024年3月現在)。
また、2019年度より電動自転車のシェアサイクルサービス「カリテコバイク」を展開しています。事前にスマートフォンなどで会員登録を行い、料金はクレジットカードで精算します。使用した自転車は借りたポートとは別のポートに返却する「乗り捨て」が可能です。カリテコバイクは公共交通機関を補完するラストワンマイルの移動手段を担い、名古屋市内中心部に386ヵ所のポート、1,025台の電動自転車を展開しています(2024年3月現在)。
今後も需要と供給のバランスを見据えながらカリテコ・カリテコバイクともに事業の拡大を図り、シームレスな移動の実現に貢献してまいります。

公共交通の利用促進を図る各種イベントへの参加

バスとの綱引きの様子

「公共交通フェスタ」(岐阜市総合交通協議会と岐阜乗合自動車主催)や「バスフェスタinモレラ岐阜」(モレラ岐阜と岐阜乗合自動車主催)を毎年開催し、バス車両の展示やクイズラリー、子ども向け企画の運転士なりきり体験やバスとの綱引きなどを実施し、バスの魅力を広める工夫をしています。また、岐阜市内の小学校で「バスの乗り方教室」を実施し、利用促進を行うとともに、バスを利用することで環境負荷軽減となり、カーボンニュートラルな社会につながることを伝えています。

豊橋市が主催する「ええじゃないか豊橋カーフリーデー」に毎年参加し、子ども向けの鉄道運転士・車掌の仕事紹介、バスの運転台での運転士なりきり撮影会などの体験を通して、公共交通や環境について学ぶ機会の提供に協力しています。

カーフリーデーのブース出展の様子

歴史的建造物・文化財の保護

11件の重要文化財を含む60件以上の近代建築や蒸気機関車(SL)などの保存・展示を行う野外博物館を愛知県犬山市に設置し、公益財団法人とともに運営しています。戦後高度経済成長の陰で失われかけた明治建築の価値をいち早く見出し、その保存と活用を提唱した建築家・谷口吉郎氏(博物館 明治村初代館長)と、その想いに賛同した大学時代の同級生・土川元夫(元名古屋鉄道会長)が中心となり、 1965年に開村した「博物館 明治村」。設立当初より、ただ文化財を保存するのではなく、明治建築をはじめとした「本物の価値」を残し、伝えることで、現代の人々の心や未来を豊かにする歴史の指針を提供し続けています。巨匠、フランク・ロイド・ライトが設計した「帝国ホテル」の空間や、日本初の鉄道(新橋-横浜)を走行したSLの乗り心地を体感するために、国内外から多くの明治村ファンにご来村いただいています。


昭和を代表する建築家・堀口捨己氏の監修によって築造された日本庭園です。織田信長の弟の織田有楽斎が京都の建仁寺に創建した国宝茶室「如庵」や、重要文化財「旧正伝院書院」がご覧いただけます。
国宝茶室「如庵」は、国宝茶席三名席に数えられる茶道文化史上貴重な遺構です(1936年に旧国宝に指定され、文化財保護法施行後、1951年に改めて国宝に指定)。1972年に当社が犬山城の東へ移築し、如庵が京都にあった時代の庭園を可能カーシェアリング・シェアサイクルの展開(名鉄協商) な限り再現した「日本庭園 有楽苑」として整備しました。

ステークホルダーとの協業で地域価値向上へ

名鉄名古屋駅エリアのまちづくりを推進(エリアマネジメント)(名古屋鉄道・名鉄都市開発)

名鉄名古屋駅周辺の価値向上を目的とする名古屋駅地区街づくり協議会、名駅南地区まちづくり協議会に参画し、道路や公園等の公共空間を活用した社会実験や清掃・美化活動を定期的に行うなど、地域と連携した活動を行っています。また、沿線・地域においても各エリアマネジメント団体に参画し、地域や行政と連携して、まちの課題解決や価値向上を目指し、検討・協議をするなど、さまざまな角度からエリアの価値向上に取組んでいます。

名駅南地区まちづくり協議会の活動の様子
(社会実験による木製ベンチ等の設置)

地域と連携した瀬戸線沿線の価値向上(名古屋鉄道・名鉄グループ)

当社および当社グループは、2024年3月より栄町駅(名古屋市東区)~尾張瀬戸駅(瀬戸市)を結ぶ瀬戸線沿線で「瀬戸線沿線価値向上プロジェクト」に取り組んでいます。
名古屋市と瀬戸市を結ぶ瀬戸線は、歴史的・文化的な資源を多く持ち、都市部とつながっていながら自然豊かな場所も多く、多様な魅力が詰まったエリアです。都心近くにありながら「ふるさと」のような温もりと親しみを感じる方が多いことから、沿線の魅力を生かしながら、地域の皆さまと一緒に活性化していこうと本プロジェクトが立ち上がりました。また、瀬戸線は当社唯一の独立した線区であることから、新たな技術の導入などモデル線区としての取り組みも進めてまいります。
沿線自治体と連携したPR事業や沿線の学生の皆さまとともに活性化策を考える産学連携の取り組み、外出支援による健康増進に関わる取り組みなど、沿線の皆さまとの共創事例も創出されつつあります。引き続き本プロジェクトの推進を通じて、瀬戸線沿線価値向上に貢献してまいります。

神宮駅前西街区に観光商業施設「あつたnagAya」開業(名古屋鉄道)

当社は熱田神宮の玄関口である神宮前駅(名古屋市熱田区)西街区で、商業施設「あつたnagAya」(第1期)を2024年9月に開業しました。神宮前駅西街区は当社が「おとなの行きたいまち」を目指し開発を進めており、本施設は「地域で継がれる魅力を嗜み、再発見できる場所」として観光客などの来街者をターゲットにしています。
名古屋市が熱田神宮周辺エリア全体で目指す「まちづくり」と「観光」の総合的な推進の一端を担うべく、今後さらなる熱田神宮周辺エリアの活性化に向けたあつたnagAyaの南北エリアの自治体・地域と連携した開発についても検討していきます。

誰もが安心・快適に暮らせるための取り組み

ユニバーサルデザイン車両の導入(名鉄グループ各社)

鉄道・バス・タクシーなど当社グループが手掛ける幅広い交通事業において、ユニバーサルデザイン車両の導入を進めています。今後も設備の更新に合わせてサービスの拡充に努めます。

2023年度実績  鉄道車両…75.1%  バス事業…70.7%  タクシー事業…30.3%

ユニバーサルデザインの住まいの提供(名鉄都市開発)

名鉄都市開発はバリアフリーに配慮し、幅広い世代・さまざまなライフスタイルの方々など、誰もが安心・快適に暮らせる空間づくりに取り組んでいます。
名古屋市中区の賃貸マンション「リシュドール大須」(2022年2月竣工)は、十分な通路幅の確保や段差へのスロープの設置、エレベーターの設置、車いす使用者向けの駐車場を整備することで、名古屋市の「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」の整備基準に適合しています。

子育て世代支援の取り組み(名鉄スマイルプラス)

名鉄スマイルプラスでは、働く子育て世帯をサポートする事業として、アフタースクール事業「TELACO」と保育事業「ぽっぽ園」のほか、スクール事業として運動教室「SPOCCO」を展開しています。2024年9月現在でTELACOが12校、ぽっぽ園が18園、SPOCCOは2店に拡大しています。
駅などの利便性の高い場所に保育所を設置するなど、子育て世帯の「お悩み」の解消に少しでも貢献したいと考えています。事業を通じて沿線地域に住む皆さまに安心して子育てをしていただき、「笑顔」の輪を広げることで住みやすい地域づくりを推進しています。

健康寿命延伸の取り組み(名鉄ライフサポート)

名鉄ライフサポートでは、予防介護の視点に立ったシルバーフィットネス事業として、機能訓練を中心としたリハビリ型デイサービス「名鉄レコードブック」を展開しています。利用者さまの身体機能や健康の維持・回復・改善を目的に、ご自身の能力を最大限に引き出す運動プログラムを提案・実践しています。
沿線の皆さまの健康をサポートすることで、健康寿命の延伸と介護負担軽減に貢献し、地域価値の向上を目指します。

障がいのあるお客様の接遇に関する社員教育(名古屋鉄道)

厚生労働省および特定非営利活動法人「日本補助犬情報センター」と協力し、常滑線大江駅構内において、補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)ユーザーをはじめ、障がいのあるお客さまに安心して電車をご利用いただくための接遇研修を開催いたしました。これは、2024年4月1日施行の「改正障害者差別解消法」において、民間事業者による障がいのある方への「合理的配慮の提供」が義務化されたことを契機とし開催したもので、中部地区の鉄道事業者21社が参加し、補助犬ユーザーと実際の駅構内やホーム・車両を用いて介助の実技等を学びました。

認知症への取り組み(名鉄グループ)

進行する高齢社会を背景とした認知症に関するする取り組みは、地域社会の発展に繋がる重要な社会課題であるという認識から、名鉄グループではさまざまな取り組みを行っております。

▶ 取り組みの詳細については、こちらをご覧ください。

障がい者野球への協賛(130周年記念事業)(名古屋鉄道)

当社は地域への感謝を基本方針とする「130周年記念事業」の一環として、2024年度から障がい者野球チーム・名古屋ビクトリー(当社従業員所属チーム)とNPO日本身体障害者野球連盟への協賛を行い、この地域における障がい者スポーツの発展に貢献します。
2023年9月に開催された世界身体障害者野球大会の日本代表チームの主将を当社従業員である松元剛が務めたことをきっかけに、日本身体障害者野球連盟および名古屋ビクトリーへの協賛を決定しました。