
オープンイノベーション 名古屋鉄道
と言ってもらえる
新しい価値創造にむけて、
オープンイノベーションで
チャレンジする

名古屋鉄道株式会社 事業創造部
相川 鳳希さん 加地 秀さん (左から)
地域に根差したさまざまな事業を展開している名鉄グループ。どの事業にも共通しているのは、「地域や社会に貢献したい」、あるいは「地域のお客さまの生活をもっと便利に豊かにしたい」、という想いです。その想いを実現するためには、グループ外部の多様なプレイヤーと協働して、新たな価値を創造することにも積極的に取り組んでいます。
そんな取り組みの一つが「名鉄オープンイノベーションLab」。
名鉄グループと外部企業との架け橋となる組織として2023年4月に設立。交通をはじめ、まちづくり、物流、生活サービスなど、100社を超える多様な事業を展開する名鉄グループが、「新しい仲間」と一緒になって、さらに地域を豊かにしていくための挑戦が始まっています。
CONTENTS
- スタートアップ企業との
協働プロジェクトが続々誕生! - 名鉄グループと外部企業の
アセットを掛け算してビジネスを創る - メタバース空間
『バーチャル名鉄名古屋ステーション』の取り組み - 外部企業との“化学反応”で
「WAO!」な価値を創造したい
スタートアップ企業との
協働プロジェクトが続々誕生!
「名鉄オープンイノベーションLab」では、これまで名鉄グループ各社が取り組んできた既存の事業モデルの課題を汲み上げ、その課題解決やさらなる発展に向けた取り組みを、スタートアップをはじめとする外部企業や大学、自治体等との協働プロジェクトとして始めています。
すでにさまざまなプロジェクトを生み出している加地秀さんと相川鳳希さんに、「名鉄オープンイノベーションLab」にかける想いや取り組みについて伺いました。
「日本最大級のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」が設置され、名古屋ではスタートアップを後押しする風が吹いています。新しいアイデアや技術を持つスタートアップと、地域に根づいて多様な事業を展開する名鉄グループ。性質も規模も異なる二者が出会うことで化学反応を起こし、ともにこの地域の人々の生活をもっと豊かにする、新しい価値創造に挑戦していこうとしています」。
スタートアップとの協業に対するこの地域の追い風も感じながら、主にグループの航空事業領域の価値創造を推進している加地さんは、現在着手しているプロジェクトについて話してくれました。
「具体的には、名鉄グループ各社が抱える、より良い価値提供や将来的な環境変化に備えた課題を集約。解決のための技術を持つスタートアップ企業を探して結びつけることで、新たな事業開発を目指しています。現在は、その中でもヘリコプターで災害時や医療分野での支援事業を行う中日本航空等と連携し、ドローンによる物資輸送のサービス化に向けた実証実験がスタートしています」。

名古屋鉄道株式会社 事業創造部の加地秀さん
名鉄グループと外部企業の
アセットを掛け算して
ビジネスを創る
名鉄グループのアセットと他社のアセットを組み合わせた事業展開も積極的に推進しています。
例えば、ホテルミュースタイル犬山エクスペリエンスでは、2024年12月から、東海エリアで初となるホテル宿泊型産後ケアサービス『milieu(ミリュー)』を開始し、注目を集めています。
「行政による子育て支援サービスは拡充していますが、実際に子育てを経験した母親たちからは、産前産後の負担が特に大きかったという声が聞かれます。スタートアップ企業による産後支援サービスと、名鉄グループが既に展開しているホテル事業が協働することで、行政だけではカバーできない産後ケアに特化したサービスの提供に繋がりました」と相川さん。

名古屋鉄道株式会社 事業創造部の相川鳳希さんは、観光分野を担当しています。
また、名鉄観光サービスが長年取り組んできた修学旅行の企画も、スタートアップ企業との協働によりブラッシュアップを図っています。
「従来の修学旅行は団体での『観光旅行』という側面も否めませんでしたが、改めて修学旅行の本質に立ち返り、いつもの学校ではできない学び体験の充実が求められています。例えば、旅先で起業家精神を育むような体験を組み込み、旅行前後の非認知能力※1の変化量を見ることで、実際に修学旅行ならではの体験価値を提供できたのか確認できる、そんなプログラムを現在スタートアップ企業と開発中です」と、相川さんは話します。
非認知能力:IQテストや学力テストなどで測定する能力ではなく、意欲や自信、自制、協調、共感といった心の部分の能力のこと
メタバース空間
『バーチャル名鉄名古屋
ステーション』
の取り組み

パソコンの画面で見るだけでも十分リアルですが、VRゴーグルを付けると没入感がアップします。
オープンイノベーションには、新技術の活用法を探る創造型アプローチという方法もあります。創造型アプローチの代表が、メタバース技術を活用して名鉄名古屋駅を再現した「バーチャル名鉄名古屋ステーション」です。
「名鉄名古屋駅は、2本の線路に対して、全20路線のうち10路線が通り、28もの行き先の列車が発着する国内でも大変珍しい駅です。目的の電車にスムーズに乗るにはある程度の「慣れ」が必要で、地域の人々にとっても、鉄道ファンにとってもちょっと特別な存在です。そんな名鉄名古屋駅を舞台として、初のメタバースに挑戦しました。主に鉄道ファンの皆様にご体験いただき、仮想空間の可能性を探る取り組みです」と、相川さん。
プロジェクト誕生の鍵であり、オープンイノベーションのコンセプトとも言えるのが「セレンディピティ」です。セレンディピティとは、偶然の出会いから新たな価値を発見すること。メンバーは様々なピッチイベント※2に足繁く通うほか、スタートアップ支援拠点『STATION Ai』へ日替わりで常駐するなど、各所にアンテナを張りめぐらせています。「バーチャル名鉄名古屋ステーション」も、21歳の現役大学生が代表を務めるスタートアップ企業との出会いによって実現しました。
主にスタートアップ企業などが資金や協業先を獲得することを目的に自社の魅力や将来性について説明を行うイベント
「このスタートアップ企業の代表は東京在住の電車好きな学生起業家で、名鉄名古屋駅を利用した経験もおありでした。展示会で偶然出会って話が盛り上がり、意気投合したことから動き出しました。まさに“セレンディピティ”が生んだプロジェクトとなりました」。加地さんはそう振り返ります。
メタバースプラットフォーム「Planeta」内の特設ワールドとして2023年8月に公開した「バーチャル名鉄名古屋ステーション」の第1弾は、測量技術を活用したデータから精密なグラフィックで複雑な構内と名鉄1200系・3500系を再現。自分の分身となるアバターを操作しながらリアルな名鉄名古屋駅の日常を過ごせるほか、車内アナウンス体験ができる「DJブース案内体験」、名鉄にまつわる小話を収集する「ストーリーコレクト」、の3種類のコンテンツを展開しました。
「特に、複雑な列車の運用の鍵を握る運転室、通称「DJブース」が話題になりました。想定以上の反響があり、公開期間を1週間延長したほどです」。

「普段は多くの人が行き交う名鉄名古屋駅ですが、メタバースなら誰もいない空間を楽しむことができるのが魅力です」と相川さん
「実際の駅は混雑していて細部をじっくり見ることが難しいものです。メタバース空間で、じっくり自由に探索を楽しんでもらえました。当初は30~40代の鉄道ファンを想定していましたが、電車好きな子どもたちにも面白がってもらえたようです。また、鉄道ファンもメタバースには馴染みがない人がまだまだ多いという事実も明らかになりました」と、相川さん。
第1弾の成功を受けて2025年1月には第2弾が公開。さらなる空間拡張に着手し、車両タイプを追加するとともに、クイズやアバター同士の交流機能といったエンターテイメント性のあるコンテンツも追加し、バージョンアップされました。

第二弾では車両の質感にも改良を加え、さらにリアルな名鉄名古屋駅を体験できるようになっています。

アバター同士でコミュニケーションも可能。「友達同士で遊びにお越しください」と加地さん
外部企業との“化学反応”で
「WAO!」な価値を創造したい

相川さんは社内公募で「面白そう!」と思い、事業創造部へジョイン
名鉄グループの使命は、地域価値の向上に努め、永く社会に貢献することです。
「お客さまの価値観は多様化し、ニーズはめまぐるしく変化しています。これからは、真の課題は何か、お客さまが求めているものは何か、を自分たちで深堀りし、それに合った技術やソリューションを持つ企業を探し出して一緒に進める“協働”がますます大切になると考えています。スピード感と柔軟性を持つスタートアップ企業と手を組むことで、これまで私たちだけではできなかった価値を創造できるようになりたい」と話す加地さん。
「名鉄グループが持つアセットを最大限活用し、地域の人々の生活が豊かになる新しいサービスを育てていきたいと考えています。オープンイノベーションはそのための重要な手段です」と、相川さんも続けます。
新しいアイデアと技術、強い情熱を持ったスタートアップ企業と名鉄グループがどんな化学反応を見せることができるのか、期待は高まるばかりです。
グループの使命である「地域の暮らしを豊かにしたい、社会に貢献したい」、この想いを実現するために、同じ想いや必要なソリューションを持つ新しい仲間と積極的に出会い協働する、この「名鉄オープンイノベーションLab」は、新しい「WAO!」を生み出していく名鉄グループの挑戦です。

関連サイト
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名鉄オープンイノベーションLab
https://www.meitetsu.co.jp/moilab/ -
バーチャル名鉄名古屋ステーション
https://www.meitetsu.co.jp/moilab/vmns/