
WAO!と言ってもらえる新しい価値創造にむけて、オープンイノベーションでチャレンジする
名鉄商店 名鉄生活創研
名鉄商店事業部
綱島 愛美さん[名鉄商店ATSUTA 店長]
西田 衣里さん[立ち上げメンバー・営業、商品開発]
棚橋 省午さん[立ち上げメンバー・名鉄商店 店長]
(左から)
ガラス張りで開放感のある約80坪の空間が、白と黒で左右対称にデザインされ、両者をつなぐように飾られた水引が目を引きます。ここは、「地域を盛り上げたい」という名鉄グループ社員の想いをかたちにした土産物店「名鉄商店」です。
名鉄生活創研が手掛ける新業態の土産物店には、愛知、岐阜県内の事業者と共同開発したここでしか買えないオリジナルの商品が並びます。商品開発はもちろん、商品を手に取ってみたくなる陳列や販売方法まで、地域の魅力を発掘し、お客さまに伝えるためのこだわりが詰まっています。
「この地域には素晴らしい魅力があるのに、地元の方は『名古屋には何もない』と自虐的に言われることが多いと思います。もったいない、私たちが何とかしたいという想いが名鉄商店の原点です」。そう話すのは、事業立ち上げから関わっている棚橋省午さん。
2021年に名古屋鉄道の社内であった新規事業の公募を経て、「うれしいを、アゲる。」を商品コンセプトに始動した、新しい土産物店づくりの挑戦。愛知県外の人からも人気の名古屋めしを念頭に、「食」に重点を置くという方向性が決まりました。
棚橋省午さんは、新規事業の公募に手を挙げた一人です
開業に向け、地元の事業者との商品開発を始動しましたが、困難の連続でした。
立ち上げメンバーの西田衣里さんは「伝手もない中、飛び込み訪問やインスタグラムのDMで事業者に連絡するなど手探りの連続でした。まだ開業前で、名鉄商店のことを誰も知らない中で商品開発を進めるのは本当に大変でした」と当時を振り返ります。
地域を一緒に盛り上げたいという熱意が、少しずつ周りの心を動かしました。地域の事業者と信頼関係を築き、2022年12月1日の開業時には、約70点のオリジナル商品を並べることができました。
地域の事業者と一緒にオリジナル商品を開発している西田衣里さん
名鉄商店の店内には「老舗」と「新興」という言葉が大きく掲げられています。このふたつの言葉には、老舗企業、新興企業と共に、地域の魅力、価値を作り、発信していきたいという想いが込められています。
「老舗の企業は、名鉄商店と共同開発をすることで、幅広い世代にアピールすることができる。名鉄商店で商品を取り扱うことで、地元の店舗にお客さまが足を運ぶきっかけも作れます。新興の事業者とは、これから永く愛される商品を一緒に作っていきたい。そんな想いを持って商品開発に取り組んでいます」。棚橋さんの言葉には、地域全体を盛り上げようという意志が込められています。
伝統を積み重ねた「老舗」の白、次の定番をつくる挑戦者をイメージした黒の「新興」。白と黒の2色を基調に、土産物店とは思えないギャラリーのような店内が特徴です
130年以上の歴史を持つ名鉄グループによる新たな挑戦は、地域の活気を生み出し始めています。例えば、南知多銘菓「波まくら」を製造販売する櫻米軒(おうべいけん)は、名鉄商店との協業を通じて、新しい発見や変化があったそうです。
「新しいチャレンジだと思い、名鉄商店と一緒に商品開発をさせていただきました。地元の方にご愛顧いただいている生せんべいの良さは生かしつつ開発した、メープルナッツ味の『NAMIMAKURA』は、自分たちでは思い浮かばないアイデアでしたし、何より楽しかったです。また、名鉄商店での商品販売後には、若いお客さまも来店されるようになりました」。櫻米軒の代表・橋本ゆう子さんの言葉は、名鉄商店が地域に新たな風を吹かせた実例です。
南知多で長年多くの人に親しまれている「波まくら」を、Z世代の若者の意見を取り入れ令和版にアレンジしました
名鉄商店のもうひとつの特徴は、接客を担う「お土産コンシェルジュ」の存在です。名鉄商店では、土産物店では一般的なポップをあえて減らし、お土産コンシェルジュが商品のストーリーをお客さまに直接伝えています。
「ここでしか買えない商品を販売しているので、お客さまは『どんな味かな?』『ちょっと高いな』などと不安に思われるかもしれません。お土産コンシェルジュは、商品の魅力を伝え、事業者の方々の想いをお客さまにお届けする役目を担っています」(名鉄商店ATSUTA店長の綱島愛美さん)
接客が大好きだという綱島愛美さん。お土産コンシェルジュの採用も担当しています
開業から2年。お客さまから期待の言葉をいただき、手ごたえも感じています。
「『こんなお店があるんだ』と初めての方に喜んでいただけるのはもちろん、『前より商品が増えたね』『これ新しいね』と言っていただける常連のお客さまも増えてきました」。西田さんは、お客さまからの温かい言葉をお店づくりの励みにしています。
「今後は、『名鉄商店と言えば…』という看板商品を開発し、名古屋土産の定番を目指していきたいです。また、商品開発、販売で培った知識を活かし、地域を盛り上げ、名鉄沿線の価値を高める手助けをしたいです」。棚橋さんの言葉には、力強い未来への展望が込められていました。
2024年9月には2号店となる「名鉄商店ATSUTA」も開業しました。地域の魅力・価値を発信し、地域の価値向上に挑戦する名鉄商店にご期待ください。